お手入れについて

保管・収納・虫干し

「きものや帯をどう保管したらいいかわからない」・・・。
ここでは、大切なきものや帯を美しく保ち、長持ちさせるための保管・収納方法を説明します。

きものと帯の 保管・収納のポイント

大切なきものや帯を長持ちさせる秘訣は、保管・収納方法にあります。

きちんとたたむ

  • 美しく保つためには、正しいたたみ方をすることが重要です。折り目正しく、長方形になるようにきちんとたたみましょう。
  • 変色や箔落ちを防ぐため、刺繍や箔のあるものはその部分に白布や和紙をあてましょう。

湿気を避ける

  • きちんとたたんだら、1枚づつ和服用のたとう紙に包んでから収納します。きものの収納には、防湿効果に優れ、桐特有の成分が虫を寄せ付けにくくするといわれている桐のタンスや衣裳箱が適しています。
    ※スチール製、ポリ容器は通気性が悪く、生地を傷めてしまう原因になりますので避けましょう。また、ボール紙等の衣裳箱は湿気を吸いやすく、カビや縮みの原因になりますのでいので避けましょう。
    ※タンスの引き出しには、良いきものほど湿気がたまりにくい上段にしまうのがポイントです。
    ※さが美では、仕立て上がったきものの形崩れを防ぐためたとう紙に厚紙を入れてお届けしていますが、保存時は厚紙を外してください。
  • タンスや衣裳箱の底に白木綿を敷き、たがいちがいにきものを入れましょう。ただし、5枚以上重ねると型くずれしやすくなるので、注意が必要です。
    ※無理に詰め込むと「型くずれ」や「シワ」の原因になります。
  • きものと帯は別々にしまうのがベストです。どうしても一緒にしたいなら、きものの上に帯をのせましょう。
  • きもの用ベルトなどゴムをつかった小物類は、化学変化で金箔・銀箔を黒くさせることがありますので、きものや帯と別に収納しましょう。

防虫剤・乾燥剤は1種類が原則

  • 数種類の防虫剤を併用すると、化学反応を起こし、シミや変色の原因になることがあります。防虫剤・乾燥剤は生地にあったものを1種だけ使いましょう。ただし、シリカゲル(乾燥剤)は防虫剤と併用できます。
    ※特に金・銀糸使いの着物や帯は化学変化しやすいので、防虫剤は着物用のものを使い、直接着物や帯に触れないよう、たとう紙の四隅にのせます。
    ※除湿剤や乾燥剤は、100%シリカゲルのものがおすすめです。水分がたまるとカビ発生の原因になるので、できれば半年に一度、少なくとも年に一度は換えましょう。
  • 防虫剤・乾燥剤は、きものや帯に直接ふれないようにタンスや衣裳箱の四隅に入れましょう。

たとう紙にきものの写真を貼っておく

  • たとう紙にきものの写真を貼って収納しておくと、いちいちたとう紙を開かなくても中身がわかるので便利です。

草履の 保管・収納のポイント

きものと同じように、草履を長持ちさせる秘訣は保管・収納方法にあります。

湿気を避ける

  • 草履収納ケースに入れ、通気の良い所で保管します。
    ※高温多湿の所は避けてください。また保管場所に乾燥剤を入れておくのも良いでしょう。
  • 草履を保管するとき、新聞紙などの印刷物やビニール袋で包まないようにしましょう。時間が経つと草履に色移りしたり、くっついたりする可能性があります。

樟脳・ナフタリン等の防虫剤は使用しない

  • 樟脳(しょうのう)・ナフタリン等の防虫剤や、ゴム製品と一緒に保管しないでください(化学反応により変色・変質するおそれがあります)。

型くずれを防ぐ

  • 草履を保管する際、鼻緒がつぶれて型くずれしないよう鼻緒キーパー(草履キーパー)を使用しましょう。

長期間しまったままにしない

  • 年に2~3回ほど、収納ケースから草履を取り出し、風通しの良い所で陰干ししてください。
  • 長い間ご使用されなかったり、お手入れをされなかった場合は、草履の素材に「劣化」「剥離」が生じることがありますので注意しましょう。

虫干しについて

湿気はきものの大敵です。タンスにしまいきりのきものや帯は、点検の意味も込めて最低でも年に一度は虫干しを行い、風通しを良くして害虫を取り除くとともに、カビ・変色を防止しましょう。

虫干しの時期

  • 虫干しの時期は、年に3度あります。
    土用干し(どようぼし)7月下旬~8月上旬梅雨で湿気た衣類を乾かすために行います。
    虫干し(むしぼし)9月下旬~10月中旬夏についた虫を追い払い、掃除するために行います。
    寒干し(かんぼし)1月下旬~2月上旬衣類の湿り気を抜くために行います。

虫干しの方法

  • 虫干しは、一週間ほど晴天が続いて乾燥した冬の日に行うのが理想です。
    きものを一枚づつ衣紋掛けに掛け、正午を挟んだ4時間程度(寒干しの場合はもう少し短時間でも効果があります)、直射日光の当たらない風通しのよい部屋で干します。
  • その際、きものの汚れや綻び、虫食いなどをチェックし、問題がある場合は早めに処置をします。
  • 虫干しのときに、タンスの引き出しや衣装ケースの中の掃除も合わせて行うとより効果的です。
    中敷きの紙なども新しいものに換えておきます。
  • 上記の期間に虫干しを行う事が出来ない場合は、期間にこだわらず、空気の乾燥した春と秋の年2回、虫干しを行ってください。
  • 普段タンスの引き出しを開けたり、衣裳箱のふたを開けたりするだけでも効果はあります。
    大切な一着を長く着られるように、愛情を持ってお手入れをしましょう。

お手入れの流れ

「着終えた後、どうすればいいのかわからない」「お手入れの仕方がわからない」・・・。
ここでは、大切なきものを美しく保ち、長持ちさせるためのお手入れ方法を説明します。

きものをお召しになった後は

  • 風を通して汗や湿気をとる
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    風を通して汗や湿気をとる

    着用後のきものは、体温や湿気を含んでいますので、そのまますぐにタンスにしまうと、カビ・黄ばみなどの原因となってしまいます。

    脱いだきものは、きもの用ハンガーに掛けて一晩吊るしておき、湿気を取り除きます(一晩が無理なら、直射日光にあたらない風通しの良い部屋に最低2時間程度)。
    ※帯・長襦袢なども同様に扱います。

  • 柔らかいタオルでホコリを落とす
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    柔らかいタオルでホコリを落とす

    その後、乾いた清潔なタオルなどをブラシ代わりにして、きものに付いた埃を払います。同時に、汚れやシミ等もチェックします。

    箔や刺繍のあるところのホコリは丁寧に扱いましょう。決してこすってはいけません。

  • シミ・汚れをくまなくチェック
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    シミ・汚れをくまなくチェック

    衿、袖口、前身頃、裾回り、腰などは特に汚れやすいので、要チェックです。シミや汚れを見つけたら、糸で印をつけ、原因をメモしておきましょう。

    汗などのシミは、水で絞ったタオルなどでよく拭き取った後、風を通します。しつこい汚れは専門家に任せるのが一番です。
    ※もし、シミ・汚れを見つけても決して擦ってはいけません(他の場所に広がる可能性があります)。ひとまずティッシュペーパーなどを重ね置きしておき、できるだけ早く専門店に相談し、処置してもらいましょう。

  • 半衿をはずして汚れをおとす
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    半衿をはずして汚れをおとす

    ぬるま湯に中性洗剤を溶かしてつけておき、たたくように洗います。

    タオルで水気を取って陰干しし、乾いたらアイロンをかけます。ただし、絹は縮むのでスチームは×です

  • シワにアイロンをかける
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    シワにアイロンをかける

    シワの目立つ部分には、あて布をあててアイロンをかけます。軽くおさえるように、手早くかけましょう。

アイテム別のお手入れ方法

帯
  • ぬくもりのあるうちにシワを伸ばし、きもの用ハンガーなどに掛けて2時間程干し、熱と湿気を取り除きます。

半衿(はんえり)

半衿
  • 洗える素材のものは手洗いし、絞らず陰干しをします。
  • 正絹の場合で、汗をたくさんかいた時は京洗いに出してください。

小物

小物
  • 腰ひも・伊達締め・帯揚げ・帯締め等の小物は、しばらく風通しのよい部屋で掛けておき、湿気を取り除きます。

足袋(たび)

足袋
  • その日のうちに洗い、形を整えて陰干しした後、アイロンをかけます。
    ※汚れがひどい場合は、洗剤を付けた歯ブラシで軽くこすってから洗濯してください。

履き物

履き物
  • 草履も履いた後は、風通しのよい場所で陰干しする必要があります。
  • 雨の日に使用した場合は、後日天気の良い日に裏面を上にして干し、よく乾かしてから汚れを落とします。
  • 汚れや湿気を放置しておくと、カビの原因になりますので、注意しましょう。
  • 草履のお手入れ方法は、素材によって若干異なります。
    素材別のお手入れ方法のポイントは、次の通りです。
  • エナメル(皮革)
    エナメル専用クリーナーを含ませた柔らかい布で拭いた後、乾拭きします。
    合成皮革
    かたく絞った布で拭き、その後乾いた布で水気をよく取ります。
    裂地(布製のもの)
    柔らかいブラシやハケでホコリや汚れを落とします。
    爬虫類(ワニ革など)
    乾いた柔らかい布でよく拭いて汚れを落とします。
  • クリーナーは、時間が経つと若干変色する場合がありますので、使用する場合には注意が必要です。クリーナーを使用する場合は説明書をよく読み、使用後はよく拭き取っておきましょう。

汚れの応急処置

「着終えた後、どうすればいいのかわからない」「お手入れの仕方がわからない」・・・。
ここでは、大切なきものを美しく保ち、長持ちさせるためのお手入れ方法を説明します。

きものを汚してしまったときの応急措置

万一きものを汚してしまっても、決して擦ってはいけません(他の場所に広がる可能性があります)。
汚れの種類に応じ、ひとまず以下の応急措置を行います。
その後は、できるだけ早く専門店に相談し、処置してもらいましょう。

お茶・紅茶・汁物の場合 裏に乾いたタオルを当て、表から水を含ませた白いハンカチで吸着させるように取ります。
ソース・醤油・果汁の場合 急いで専門店に連絡し、処理してもらいましょう。
墨の場合 手をつけずにシミ抜きに出しましょう。
お酒の場合 水を含ませたタオルでたたきとった後、シミ抜きに出しましょう。
油類の場合 ハンカチなどでシミの広がりを押さえてから専門店に連絡し、処理して貰いましょう。
マジックインキ・インクの場合 手をつけずシミ抜きに出しましょう。

きもののお手入れQ&A

こんなときどうする?! Q&Aでお答えします。

Q1

「京洗い」は着るたびに出すもの?出すタイミングを教えて!

A1

シーズンの変わり目が目安です。

訪問着や付下げ、小紋、紬など、おしゃれを楽しんだきものは、「雨に降られて泥が跳ねてしまった」「たべこぼした」など、特別な汚れがない着汚れの場合は、来シーズンまで着ないと決断した、シーズンの終わりが「京洗い」のタイミングです。

留袖や黒紋付など、一度着たらしばらく着ないものは、着用後すぐにお持ちいただくと出し忘れが防げます。冬でも暖房のきいた部屋にいるだけで汗をかいています。着用後かいた汗は時間の経過とともに黄色い輪ジミに変わる恐れがあります。汗抜きも一緒にされた方が安心です。

ご自分で判断がつかない場合は、お気軽にご相談ください。

Q2

淡い塩瀬の帯、半衿や白い帯留め、なんとなく着汚れています。リフレッシュできますか?

A2

帯も小物も「京洗い」ができます。

「京洗い」は、きものだけでなく、羽織やコート、長襦袢、帯、半衿、帯揚げ、白や生成り色の帯締めなどもできます。特に肌に近い長襦袢は皮脂が付着しやすいので、こまめに手当てを!また、雨や汚れから守る「ウルトラはればれ」がしてあれば、「京洗い」の価格もお手軽になります。

汚れを少しでもキレイに元の状態に近づけるには、早い手当てと、自分では処理せず専門家に任せることです。また見た目は大丈夫でも付着した汚れが後から酸化変色してくることがありますので、汚れが浸透しないうちに手当てをしましょう。