きものを着る

着付けの流れ

興味があっても一歩が踏み出せない方のために、1人でもちゃんと着られる「着付けの基本」をご紹介します。
ここでは、きものを着る際のおおまかな流れを説明しています。

着付け持ち物チェックリストはこちら

きものを着る前に(事前準備)

1. 清潔な手で扱う

  • きものは、とってもデリケートです。手の脂や汚れがつかないように、事前に手を洗ってから取リ扱いましょう。

2. 着る前日にタンスから出す

  • たたみじわや防虫剤の臭いをとるために、お召しになる1日前にきものや長襦袢(ながじゅばん)を出し、ハンガーに掛けて直射日光の当たらない部屋で2~3時間風を通します。
  • しわがとれない時は、白いあて布をして裏から低温でアイロンをかけます。この時、箔を避けるよう注意します。
  • 半衿は前もってつけておきます。
  • コーディネート小物や着付け小物も前日にすべて揃えておきます。

3. 着付けは衣裳敷などの上で

  • きものの汚れを防ぐため、着付けは*衣裳敷(いしょうしき)などを広げて行います。
  • *衣裳敷(いしょうしき):着付けの際やきものを畳む際に下に敷く和紙。カーペットや畳の上からホコリなどが付着するのを防ぎ、きものが汚れてしまうのを防ぎます。

着付けの流れ

  • 足袋(たび)を履く
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    足袋(たび)を履く

    きものを着た後に足袋(たび)を履くと、せっかく着付けたきものが着崩れてしまう心配があります。

    次に、両足を揃えて地面から離し、片手で袖を持ち、もう片方の手で上前を押さえながら身体を回転させて足を入れます。

    きものをあまり着慣れていない方の場合は、最初に足袋を履いておくことをおすすめします。

  • 肌着をつける
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    肌着をつける

    肌着には、ワンピースタイプ、スリップタイプ、セパレートタイプなどがありますので、自分にあった使いやすいものを選びましょう。

  • 補正をする
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    補正をする

    腰のくぼみにタオルをつけます。
    ※ヒップラインを平らにすることで帯結びの形がくずれにくくなります。
    ※胸元やウエストの補正も個人の体型に合わせて行います。

  • 長襦袢を着る
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    長襦袢を着る

    きものを着てしまってから長襦袢(ながじゅばん)を手直しすると、着崩れの原因になってしまいます。

    また、きもの姿を美しく、着崩れしないようにするための重要なポイントである衣紋(えもん)の抜き具合は、この時点で決まりますので、きものを着る前にしっかりと整えることが大切です。

    長襦袢の着方についての詳細はこちら

  • きものを着る
    05

    きものを着る

    きものを着たら腰紐(こしひも)で結びます。
    ※腰紐は着付けの要ですので、きちんと結びましょう。

    きものの着方についての詳細はこちら

  • 伊達締めを締める
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    伊達締めを締める

    きもののお端折(おはしょり)をきれいに整えた後、伊達締め(だてじめ)を締めます。

  • 帯を締める
    07

    帯を締める

    帯を締めるときは、必ずひと巻きごとに引きしめながら巻いていくのがコツです。

    帯の結び方についての詳細はこちら

  • できあがり
    08

    できあがり

    完成です。

長襦袢の着方

着物を着る前に、まず長襦袢を着ます。
長襦袢を着るときは、着物の時よりも着丈もやや短めに調整しましょう。
長襦袢の色は、白または淡い色目のものが無難です。

長襦袢の着方の手順

  • 長襦袢をはおる
    01

    長襦袢をはおる

    長襦袢(ながじゅばん)を後ろから肩に掛けて袖を通し、衿先をもって背中心で合わせます。

  • 衣紋(えもん)をぬく
    02

    衣紋(えもん)をぬく

    手のひら分程の衣紋(後ろ衿)を抜きます。

  • コーリンベルトを使う
    03

    コーリンベルトを使う

    コーリンベルトの長さを肩巾より少し広めにします。

  • 下前を合わせる
    04

    下前を合わせる

    下前のウエストの位置でコーリンベルトを留めます。

  • しわをとる
    05

    しわをとる

    コーリンベルトを身八つ口から出して、シワを取りながら右手に持ちます。

  • コーリンベルトを留める
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    コーリンベルトを留める

    コーリンベルトを上前のウエストの位置に留めます。

  • 伊達締めをします
    07

    伊達締めをします

    伊達締めをしめます。
    ※ゴムベルトの場合は後ろから回して前で留めます。前から回して後ろで留めることもできます。

  • 完成です
    08

    完成です

    背中心を引き、左右のしわを伸ばします。胸元のたるみを下に引いて完成です。

きものの着方

さあ、いよいよ着付けの本番です。
以下の手順に沿って丁寧に進めていきましょう。

きものの着方の手順

  • 後ろに回す
    01

    後ろに回す

    きものを後ろに回し、左右同じ位置で衿を持ちます。

  • 袖を通す
    02

    袖を通す

    肩にはおります。長襦袢の袖を持ち、肘から片方ずつ袖を通します。

  • 背中心をきめる
    03

    背中心をきめる

    左右の共衿を合わせ背中心を決めます。

  • 裾線をきめる
    04

    裾線をきめる

    背縫いと衿先を持ち、裾線を水平に持ち上げます。床すれすれの長さまでおろします。

  • 前幅をきめる
    05

    前幅をきめる

    上前の衿先を腰骨位に合わせ、前幅を決めます。

  • 下前をきめる
    06

    下前をきめる

    決めた前幅を広げ下前を巻きます。褄先(つまさき)を7~8cm持ち上げます。

  • 裾線をきめる
    07

    裾線をきめる

    上前を合わせて褄先(つまさき)を3~4cm持ち上げ、右手で腰骨の上を押さえます。
    ※着丈は床すれすれにします。褄先を持ち上げると裾つぼまりになり、スッキリ見えます。

  • 腰紐をつける
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    腰紐をつける

    ワンツー腰紐を腰骨より少し上の位置に巻き、マジックテープの部分で留めます。
    ※衿先にスベリ止めを当て、後ろから前によく引いて留めます。前からまわしても同じく引いて留められます。

  • おはしょりをつくる1
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    おはしょりをつくる1

    身八ツ口から手を入れ、前のおはしょりを布目を整えておろします。

  • おはしょりをつくる2
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    おはしょりをつくる2

    後ろも同じように整えます。
    ※腰紐にきものがひっかかっていないか確認します。

  • 背中心を合わせる
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    背中心を合わせる

    背縫いと共衿(掛け衿)を持ち、背中心を合わせます。

  • 衿を整える
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    衿を整える

    耳の後ろは長襦袢の衿を5mmほど控えておきます。

  • 手前のおはしょりを整える
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    手前のおはしょりを整える

    下前のおはしょりを斜めに折り上げます。
    ※左手は身八ツ口から通して衿を持ち、右手は身八ツ口に親指をかけて両手の平で同時に内側に返すと早くきれいにできます。

  • コーリンベルトをつける1
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    コーリンベルトをつける1

    コーリンベルトの長さは肩幅より長めに決め、左の身八ツ口から下前の衿に留めます。
    ※衿が詰まらないように、ゆったりウエストの位置で留めます。

  • コーリンベルトをつける2
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    コーリンベルトをつける2

    コーリンベルトを後ろからまわして上前の衿に留めます。
    ウエストの位置に決め、長襦袢の半衿が左右均等に出るように合わせます。

  • 胸元を押さえる
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    胸元を押さえる

    コーリンベルトより上の位置で、ワンツー腰紐のスベリ止めを上前の脇に合わせて巻きます。
    ※後ろから前によく引いて留めます。前からまわして留めることもできます。

  • 背中のしわを伸ばす
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    背中のしわを伸ばす

    背縫いを下に引き、両脇にも引いて背中のしわを伸ばします。
    両脇の身八ツ口をそれぞれ合わせておきます。

  • おはしょりを整える1
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    おはしょりを整える1

    後ろのおはしょりを持ち上げてコーリンベルトのゴムにはさみます。

  • おはしょりを整える2
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    おはしょりを整える2

    前のおはしょりを持ち上げて整えます。
    ※滑るきものではクリップで留めます。

  • 完成
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    完成

    伊達締めをして完成です。
    ※ゴムベルトは、後ろからまわして留めます。前からまわすこともできます。

帯の結び方

着崩れの直し方

きものでお出かけしたときに、いくら動作に気をつけていても、時間がたつと着崩れてきてしまうことがありますよね。

そんなとき、着崩れてきたときの正しい対処法を知っていれば、大きな着崩れになってしまう前に直すことができ、一日中、着付けたときの素敵なきもの姿を保つことができます。

ここでは、着崩れをおこしやすい部分ごとに、対処方法を紹介します。

衿もとがゆるんできた場合

衿もとがゆるんできた場合
  • 衣紋(えもん)のぬけが詰まり、その分前衿がたるんできてしまうことがあります。
  • そんな場合は、きものの裾(すそ)を持ち上げ、長襦袢(ながじゅばん)の後ろ身頃の背縫いを両手でつかみ、下に引っ張ってまえ衿のたるみを直します。

腰にたるみがでてきた場合

腰にたるみがでてきた場合
  • 座ったり立ったりという動きが多いと、どうしてもお尻のあたりから腰にかけてたるみができます。
  • そんな場合は、お端折(おはしょり)をめくり上げ、腰紐の上のお端折を内側から持って、たるんだ部分を引きあげます。
  • その際、腰にしわができたら左右に広げて伸ばし、お端折(おはしょり)もきれいに直します。

お端折(おはしょり)が乱れた場合

お端折(おはしょり)が乱れた場合
  • お端折(おはしょり)が引っぱられて短くなったり、体の動きでシワになってしまうことがあります。
  • そんな場合は、帯の下側に手を入れ、手の平で横になでるようにしてたるんだ部分を左脇に送ります。
  • たるんだ部分をタックをつけてたたみ、後ろの身頃に倒します。

裾(すそ)が落ちているとき

裾(すそ)が落ちているとき 裾(すそ)が落ちているとき
  • 着付けのとき、衿先(えりさき)の位置で腰紐をきっちり締めていなかったり、上前の裾を踏んでしまったりすると、上前の褄先(つまさき:裾のかど)が落ちてきたり、裾が長くなってしまったりする場合があります。
  • そんな場合は、右手でお端折(おはしょり)の下から上前の衿先を持ち、突き上げるようにして、下がってきた分を腰紐の中に入れこみます。裾線がきれいに決まったら、お端折を整えます。